048:天井 | |
目が覚めてしまった‥ こんな時間だと言うのに 寝返りを何度も繰り返すが、眠気が襲ってくる様子は全く無い 「‥どうしようか」 さて、困ったぞ‥ 天井を見上げた 其処は見慣れる天井とは違った 白い天井でも グレイの天井でも 木野目の天井でもなかった 久し振りに見るこの天井は 子供を安心して寝かせるかのように 暗闇の中で光る天井だった 「この歳でこの天井は無いだろ‥」 なぁ?と隣を見遣れば 先程まで瞑っていた筈の瞳がしっかりと開かれ こちらを見つめていた 「この天井はきさんの為にしたとよ」 「俺の為?」 「ん。きさん、星が好きやろ?げにつけたとよ」 「お前が自分で、か?」 「ひさに来るきさんの為につけたと」 「‥そうか」 肩を引き寄せられた その引き寄せた手が冷たくて 妙に安心した 普通は暖かいと安心するものなのだろうが コイツの‥仁王の場合は冷たい方が安心する この天井が自分の為のものならば そしてこの腕の中ならば 眠れるかもしれない だから‥目を閉じてみた 「ゆっくりと寝んしゃい‥幸村」 |
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