044:グリム童話

このソラは何処までも暗く果てしない
其処に輝く星は、何人にも平等に輝く
けれど人は『星』を求める
その『星』を手に入れられるのは1人だけ
『星』の為に何が出来る?
欲しいものを欲しいと
口に出すのは悪いことなのだろうか?

少年は1人、夜空の下で考えていた

其処に白い髪の少年が現れました
彼は夜空を見上げる少年に問い掛けました


「あのソラに輝く『星』が欲しいとか?」

「‥欲しい。どうしたら手に入ると思う?」


彼は問い
少年もまた問います


「面白いことを聞くのぉ」

「誰でも欲しいものだ。
けれど手に入れられるのは1人だけ‥」

「そげん悲しそうな顔しとったらいかんとね」

「どうしてだい?」

「チカラを貸しとぉ、なってしまうとよ」

「キミが力を貸す‥。そうしたら『星』は手に入るかい?」

「俺とお前さんのチカラがあれば、入るかもしれんのぉ」

「じゃあ、力を貸してくれ」

「えぇとよ」


少年たち2人はお互いに手を取り
『星』に手を伸ばしました



「どうじゃ?」

「見た目によらずロマンチストだな、仁王は」

「見た目によらずは余計じゃ」


オフホワイトのソファに身を寄せ合い
仁王が作った「おとぎ話」を読み、微笑みあう
そんなゆったりとした時間を過ごし日は沈む


「幸は赤頭巾の話を知っとるかのぉ」

「勿論、知っているさ」


ニッ、と仁王は笑い
幸村の頬に手を添える


「可愛い子は、狼に食べられてしまうとよ」

「どちらかと言うと、俺はおばあさん役が似合わないか?」

「どちらでも良いとよ。幸だったらな」


狼と赤頭巾は仲良く生活していました



おしまい






05.04.25