042:つまらない話

「暑いな‥今日は」

「そうか?」

「お前は体温が低いから」

「幸は平熱いくつ?」

「‥平均だと思うが」

「その間は何やの。怪しいのぉ」

「別に怪しいことは何も無いだろう。普通だ」

「普通とは何度と?」

「‥‥‥‥」

「幸?」

「‥お前は嫌いだ」

「俺は幸が好きとよ」

「‥36.7℃」

「んー?」

「だから、平熱だよ」

「おぉ、そやったと。確かに普通やね」

「お前は?」

「俺?35.6℃くらいじゃなか」

「だから今も暑く無いんだな」

「幸は平熱が高いとね。だから暑く感じる」

「そうだ」

「それだけ?」

「‥何だ、その物言いたげな目は」

「幸の平熱が37℃のは知っとるとよ」

「‥お前‥」

「お子様言われるんが好きや無いとね。其処がまた可愛い」

「‥可愛いと言われても嬉しく無いが?」

「嘘つきじゃね、幸は」


暑く思うのは
2人してベッドに居るから
背中を向ける幸村を後ろから抱き締める仁王
肌に感じるのは
服の感触じゃなくて
お互いの素肌

本人達には愛しみ合う素晴らしい日常
他人にとってはつまらない話でしかなかった






2004.04.24