023:悲しまないで欲しい | |
悲しみが終る場所 それはお前の腕のなかだけ お前を見つけた時から その場所を見つけた時から 俺は強くなれたような気がするよ 誰よりも強く 更に強く 何処までも行けるような気がしたんだ いつまでも抱き締めていて欲しい 俺が消えて無くならないように その腕で 強く 強く 抱き締めていて欲しい お前の腕のなかだけが 悲しみの終る場所なんだ 「雅治‥」 「こげん時だけ名前で呼ぶは、卑怯とね」 「そう、だな。俺はいつも卑怯なのかも知れないよ」 「幸がどうであろうと、俺は幸の傍に居るとよ」 「あぁ‥お前の腕のなかだけで充分なんだ‥」 そう お前が居れば悲しみは終る けれど俺は弱くなってしまった 終る場所を知ってしまったから お前の腕のなかは温かくて 居心地が良いんだ 羽に包まれているかのように 「‥温かい‥」 「幸の身体が冷えてるとよ。気候が変じゃけんのぅ。風邪を引きなさんな」 「俺が風邪を引いたら、お前もきっと風邪を引くよ」 微笑むお前の顔が きっと変貌する 悲しみの終る場所 それはお前の腕のなか? 俺の悲しみをお前で終らせよう それは俺が弱いから お前に背負わせてしまう 俺の弱さ 誰かがお前の 悲しみが終る場所になるのは 許せないんだ すまない 俺はこんなにも弱かった お前の腕が温か過ぎて 強さを貰った気で居たのかも知れない もとから弱かった俺を強くさせた その腕と心で けれど俺はゆくよ 悲しみは 永遠に続くんだ この世に 悲しみが終る場所なんて 何処にも無い‥きっと 「‥雅治」 「どげんしたとね」 優しく髪を撫ぜるお前の手が好きだ 優しくキスをするお前が好きだ 「お前が俺の‥」 悲しみが終る場所なんて無い けれど‥ お前が俺の悲しみが終る場所なんだ 「幸?どないしたと」 「好きだ」 「俺は幸を愛してるとね」 矛盾した心地良い居場所 それから飛び立つ時が来たんだ 「幸‥。眠ったと?」 「‥‥‥」 「痛いのは、これからじゃけん。俺はいつまでも強くあるとね」 「‥‥‥」 「幸。いつまでも好きじゃけんのぉ。それだけは、忘れたら駄目だ」 夢はいつも空の彼方にある それがどんな夢であろうとも‥ きっと世界の果てに 悲しみが終る場所がある |
2004.10.01 |