006:嬉しそう

そんな顔をするんじゃないよ
言葉で語らないで、顔で語ってる
理由は解らなくも無いが、せめて表情くらいは我慢してくれ

どんなに詰まらなくても
どんなに苛立つことでも
どんなに悔しい時でも
どんなに泣きたい時でも
どんなに‥嬉しい時でも

お前は同じ表情で居てくれ
そうじゃないと


「俺の身体が持たないよ」

「どうしてかのぉ。どうしてそんなことを言うとね」

「壇上の上から、お前の顔が良く見えるからだ」

「幸の目線が泳ぐんはその所為じゃったんか」

「‥分ってたなら、嬉しそうな顔をするんじゃない」

「そんな顔してないとよ」


嘘つき
その顔の何処が‥


「お前のその顔が1番、好き‥なのかも知れないな俺は」


ポーカーフェイスが得意なお前のその表情が
時折歪むのを俺は知っている
それはお前が我慢している時

嬉しいのに我慢してる時の顔だ
そんな顔が好きなんて、捻くれてるか?


何て顔しとるん
そんな顔をするんじゃなかとよ
食べてしまいたくなる

俺の顔を見て
嬉しそうに笑う幸が
俺は好きじゃけんのぉ






2005.01.17