Brilliant misty 2 | |
深紅に染まった視界から一転、大空から響く声 意識を集中させれば懐かしい声が…君の声が聴こえる 「オレを言い訳にするなよ、骸」 「…ボンゴレ?」 君の声を間違う筈が無い この三年、何度も焦がれた声が傷口に沁み渡る 「オレを言い訳に死んで欲しくなんか、ない」 清廉な声は、過去が美化された其れよりも清々しい 顔は見えないと言うのに、君の表情が浮かんで見える 僕はまだ、果てる宿命では無いようだ 虚空から現れ指先に宛がわれるリングに炎が灯る 橙を芯に広がり交る藍 藍を包む様に交わる橙 インディゴが示すは真実と嘘が潜むモノ、即ち霧 「クフフフ…どうやら、スペアと言えどもボンゴレリングらしい」 「骸クンも大概マゾだよね。早く楽になりたいと思わないのかな。 それに…ボンゴレリングは破棄したんじゃなかったっけ?」 「ええ、ボンゴレがそれは見事に霧散させました。 これはボンゴレリングであってそうで無い物。 だが、持ち主の願いに応え力を発揮する其れは…まさに本物」 スペアボンゴレリング 持ち主の生命を吸えば、ボンゴレリングと同等になる それだけの力を秘めて居るリングも、このままでは唯のイミテーション 未来を変える為、このリングに僕の生命を吸わせる予定だった 持ち主の血潮を得れば、偽物は本物へと変わる筈だった 計画は狂いましたが…思い出しましたよ 霧は無を有とする ならば、このリングを有へと変えるも出来る 「ボンゴレリングとは不思議な物です。 スペアと言えども、これも立派なボンゴレリングのようだ。 霧のボンゴレリングよ、僕に力を! 彼を取り戻す為の力を貸しなさい」 橙を孕むインディゴの炎は力を増し、僕に力を貸してくれる その炎は大空を得て、本物へと進化する 「沢田綱吉クン、か。死んでも尚、僕の邪魔をするんだね」 均衡する力と力がぶつかり合い、光が生じる それに紛れ白から逃げ出した先は大海原 大空を映す海水へ迷わず飛び込んで もう一度、幻の君を垣間見れやしないかと 深海へ沈み往く身体を波に任せる 息が限界を感じた頃、身体を包むように感じられた気配 リングに灯る炎を推進力に変換させ、海面から顔を出せば 青と白が広がる大空に、無意識に流れる液体 それを止めることも出来ずソラを仰ぐ 「…綱吉くん」 呟きを残し、決意新たに僕らは進む 望む未来を手にする為に。 |
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2008.08.26