Brilliant misty |
コバルトブルーの海に、君が沈んで逝く まさか君のこんな姿を見る羽目になるとは 流石の僕でも予期出来ませんでしたよ 君の死を嘆き、悲しむ人が沢山居ますよ 悔しいでしょう? 悲しいでしょう? お優しい君のことだ さぞかし胸を痛めてることでしょう 痛める胸など既にこの世にないと言うのに 嘆く人間の数だけ君は愛されていたんですね それはそのまま君の人望を表わすのでしょうが 生憎と僕は捻子曲がった性格をしている様だ 僕以外の人間に嘆かれる君が、気に食わない 君の死に顔は安らかでした 苦痛の色も悲しみの色もなく ただ眠っているかの様で、誰も君の死を 信じられなかったみたいですよ 触れた身体が冷たくなければ 僕も信じられなかったかも知れません ソラは晴天、雨も霧も雲もない ねえ、ボンゴレ どんな気分ですか? あの雲雀恭弥すら複雑な顔をしている 君に是非とも見せて差し上げたかったですよ あぁ、死んだのでしたね 見せることも出来やしないとは… 死とは不便なものだ ボンゴレ 君も輪廻を巡るんですよ だからこれは永遠の別れではない 次の世でまた、会えることでしょう 最後に…君の名前を呼びたかった こんな未来を誰が望んだ? 誰も望んでは居なかった未来 覆せる未来であると知ったのは数日後 誰も反対などしなかった 寧ろそれを喜び、誰もが切望した マフィアを嫌悪する僕がマフィアとして暗躍する 全ては…そう、全ては己の為です 君の為などと言う事は出来る筈がない 全ては己の欲の為に行動しているのだから この時間の全てを変えられるとは限らない 君の「死」は覆らないかも知れない けれど、過去から続く先『彼ら』の未来は変わるかも知れない 別の『君』は生きて笑って困って、僕の前に居るかも知れない 一縷の望みだとしても構わない 望まずにはいられない 君の名前を呼べる『僕』が存在するならば 僕はこの身の限り、マフィアとして戦いますよ 「六道骸クン、だよね?」 薄氷の笑み、白い蘭が舞う部屋で 背中に流れる髪は歳月を示し 僕は静かに目を閉じる 瞼の裏には、焼き付いた君の笑顔 此処が終焉の地だとしても、僕は構わない 全ては未来の『僕ら』の為なのだから この世界に生きる『君』はもういない ならば、この世界に生きる『僕』も必要ない ボンゴレ 僕らを剥離した未来から別れましょう そして、輝ける未来に繋がる道と『僕ら』を ソラから見守るのも悪くないでしょう? 「…ツナ、ヨシ…くん」 「それが最後の言葉? 沢田綱吉クンは愛されてるんだね」 散るは深紅、望むは蒼穹 覆った未来の幻影に、僕は笑う |
2008.08.12