Brilliant sky |
大空と君は謳われ、語り継がれるのだろう ”死”によって美化された君の名がボンゴレに刻まれる 誰よりも心優しき君は僕らの忠告など聞かず いつも大らかな笑顔でファミリーの全てを包んでいた その笑顔に癒され、君に付き従う人間が増えていく一方 君は己の身など案じず、常に前線へと赴くものだから 誰もが危惧した事態に陥った時の混乱は凄まじかった 命を落とした今も君は笑っている 最後を見取ることが出来た人間も見ていない人間も 確信めいた思いを誰もが抱き、君の棺を覗き込むんです 案の定、君は笑っていましたね 大空は全てのファミリーを優しく包み それと同じく、僕らの心を強く強く束縛する 君と言う人間に魅了された僕らは 君が残した言葉に縛られ今もこうして在る 組織に属していたんじゃない 君に、属していたんだ 天候になぞらえられた僕ら ソラなしにどうすればいいと言うんだ 君がいなければ組織も何も意味は無い ひとり、またひとりと姿を消してゆく 次代のボスが襲名するまでは、と残った人間も 君とは別の人間がボンゴレを名乗れば 悲しい顔をして、ファミリーを抜けて行った その顔に未練の影は見えず、ただ… ボスと言う肩書きに君の幻影を見出し、愛執を産む 愛執は哀愁となって、断ち切る為にこの地を後にするかの様だ そんな僕らが(彼らが)唯一 過去のファミリーが揃い集う日 忘れてしまえば楽なものを、僕らは覚えている 忘れる事など出来ない、きっと、永遠に、永久に 君が命を落としたその日に変わらず集まる僕ら きっと君はそんな僕らを見たら笑うんでしょう 皆、やっと仲良くなってくれた、とでも言いながら 君は僕らの大空でした(過去形など使いたくない) 空のない僕らは(…夢ならばいい) 嵐も雨も雲も雷も霧も太陽すらも 映し出すことが出来ずにいる 「沢田綱吉。君が消えてもう三年だ」 「ボンゴレ。貴方は今も笑ってますね?」 「よぉ、ツナ。元気にしてっか?」 「十代目…。オレは、オレは…!」 「若きボンゴレに出会う度、泣きそうになります」 「沢田!今日も見事な快晴だぞ!」 この日に雲が出ることはない この日に霧が出ることはない この日に雨が降ることはない この日に嵐が起きることはない この日に雷が起こることはない この日は太陽だけが空の不在を憂い 燦々と色彩を弾き輝くだけ 大空と謳われる君よ 僕らの唯一、主であり友であり家族である人よ どうか命を吹き返して下さい それが愚かな願いだとしても 僕らは過去を…僕らではない僕らの為に 過去を塗り替えることを厭いません この時代ではない過去の君 僕らの時間を代償に 必ず守ってみせる 違う時を刻み生きる僕らへ どうか、この切なる願いを叶えて下さい この身が焼かれようとも この身を切り刻まれようとも この身に流れる血を流し尽くそうとも どんな罰も享受します 僕らは僕らの悲しい顔を 彼の安らかな死に顔など見たくない だから…僕らに未来を覆す力を下さい |
2008.02.07