銀色に惹かれたのは決して、誰かを重ねてた訳じゃない。
オレと同じ髪型、同じ顔の作り、同じティアラ、同じ声。
卵すら同一で作られたオレら唯一の違いは髪の色だった。

天使の名を持つラジエルは黒を身に纏い、銀の髪色。
悪魔の名を持つオレは白を身に纏い、金の髪色。

表と裏、光と影。
決して離れる事が出来ない双子の因縁。

不意に言われた言葉が胸に刺さった。
意識すらしていなかった。


「ベルセンパイのお兄さんとロン毛隊長、似てますよねー」

「は?何処がだよ」

「髪の色でーす。
 それに笑った時の歯剥き出しさなんかも似てますよー」

「…………」

「ベルセンパイ?」


愕然として。
今まで築いて来たモノが崩れる、足元が崩壊するオト。
ジルの影を追い払い、確立したはずの『オレ』
初めて好きになった人間、傍に居ても平気な存在。
それは安寧と言う名のクソ詰らないけど、大事な幸せ。

なのに、それすらも根底にジルが影従して、る?

天使の名を持つジルはミルフィオーレ、ホワイトスペル。
ボスの白蘭を神と慕い、白を纏い銀の光が増した使徒。
悪魔の名を持つオレはボンゴレ、ヴァリアー。
闇の闇を生き、黒に映える金と手元に冴える銀。

嗚呼、ココでも銀。

オレの周りは銀に溢れてやがんのかよ。
銀はジルの髪色。
銀はスクアーロの髪色。
銀はオレの命を握るナイフの色。

銀が愛おしくて憎らしくて、どうしようも無い!
血を見てぶっ飛ぶ時みたいな前兆に似てる動悸。
至るところからドクドクと心音に交じり赤が、支配スル。
瞳が充血して、血の涙でも流れそう。
横目に見えたフランの間抜け面。

あ゛あ゛ぁ…ダ、メだ…イく。

瞼を閉じて、世界が黒と赤に支配される筈だった。
其れの一歩手前で白がオレの目を覆った。


「なにしてやがる。ベル」

「すく、あー…ろ」

「フラン。てめー、ベルに何しやがった」

「ミーが悪者ですかー。最初から決め付けよくないです」

「チッ。…ベル」


スクアーロの手がゆっくり離れ、見える銀。
ドクンと心臓が鳴って苦しくなる。

だめだ。
オレ、この銀がすきだ。

頭を支配していたマイナスが霧散した。
どう転んでもオレは銀から逃げられない。
もうそれでいいや。

















だって、銀は…愛おしい
スクアーロの色だもん。









2008.12.29