幸せの定義

理論で語る言葉は信用出来ない。
全てを統合、統一する統計学に興味は無いし。
経験が生む独自の統計ならば信じない事もないけどさ。

幸せの定義。
言葉で明確に出来るモンじゃないだろ?
人それぞれ思う幸せってのがある筈なんだから。

抱き締めるだけで幸せだと感じる奴が居れば
身体を重ねて口付けないと幸せだと思えない奴もいる
暴力に愛を感じる風変わりな奴が居たって不思議じゃねーよ。

更に愛の定義は曖昧で、答えなんて何通りもある。
運良く愛の定義が同じ奴に出会えたとしても
ほんの少しのズレから生じた歪みで愛はぶっ壊れる。

天秤は常に平行でなければならない。
愛の比重もまたそれと同じで、偏ってたらダメなんだよ。

オレとオマエの定義が一緒だったら良かった。
生まれた世代が同じだったら良かったのにな。
同じ学校に通って(跳ね馬が一緒なのは勘弁だけど)
オレとオマエとボスと三人で過ごす穏やかな日常。
望んでも決して手に入ることが無い妄想の日常。

きっとオマエの温かい愛情はオレを癒す。
微温湯に浸かったような、くすぐったい感情に包まれて
オレは多分きっと、幸せになれたんだろうな。

未来に伸びる何万通りもある道筋から選んだ未来。
それを後悔する日も涙する日も多いんだろうな。
目の前で揺れる銀糸の幻影に、無意識に手を伸ばして
虚空を切る腕にオレは溜息を吐き出して、ソラを仰ぐ。

安易に創造が出来る最悪な未来。
それを選んでしまったオレ。

抱き締められたら幸せだ。
手を握って眠るのも幸せだ。
下らない話を繰り返すのも幸せだ。
同じ場所で食事する幸せ。
電話越しの声も幸せで、別れ際の切なさも…
一種の幸せなのかも知れないな。

口付けられたら、身体を重ねられたら
それはきっと、とてもとても幸福なこと。

手を離した幸せの象徴、それは笑顔。
笑顔を失ったオレからすれば
小さな、積み重ねる日常の微々たる幸せは
手に掴んでいた時より
ずっとずっと愛おしくて

輝いて見える。





2008.06.27
2008.07.25